第91章 お前こそ疫病神

佐藤詩乃は、皆の視線が南坂海乃に集まっているのを見て取った。

黒谷優が海乃を選ぶのが怖い。恐怖で目を見開き、身をよじりながら、ぽろぽろと涙を落とす。

「優! お兄ちゃんに約束したでしょ。絶対に私を守ってくれるって……あの女を選ばないで! 死にたくない!」

南坂海乃は、最初から彼らに希望など託していない。うつむいたまま、自分の足と地面の距離をぼんやりと見つめ――頭の中に、ひとつの策が形を成していく。

縛られた手首の痛みを必死にこらえ、佐藤詩乃が騒ぎ立てたその隙に、掌の奥に隠していた小さなナイフを取り出す。じり、じりと。手首の少し上を締め付ける縄を削っていった。

黒谷優は険しい顔で、周...

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